4 本の GARP ETF パフォーマンス比較:戦略実行の真実のコスト
GARP を自称する 4 本の ETF——RVER、SPGP、GARP、TCAF——は、「妥当な価格での成長」という同じ物語のもとで、パフォーマンスの落差が著しい。本稿は統一基準で 4 本のリターンを比較し、「同じ GARP」という三語が実際の戦略実行でどれほど異なるか、そしてそれが長期複利にもたらす真実のコストを明らかにする。

4 本の ETF 一覧
比較に入る前に、まず 4 本の ETF の基本プロファイルを同じ机に並べる。いずれも「妥当な価格での成長株(Growth at a Reasonable Price)」を自称するが、運用方式・ルール化の度合い・規模の差は極めて大きい:
Trenchless Fund ETF(River1 Asset Management)。2024 年上場、保有 22 銘柄、回転率 232%、上位 10 銘柄集中度 59.65%。GARP 名義+実際はテーマ・ローテーションで、保有スタイルのドリフトが深刻である。
T. Rowe Price Capital Appreciation Equity ETF。2023 年上場、保有約 100 銘柄、回転率 36.5%。名高いミューチュアルファンド PRWCX の ETF 版である。Morningstar は Gold 評価を付与している。
Invesco S&P 500 GARP ETF。2011 年上場(GARP 指数版は 2019 年以降)、S&P 500 GARP Index を追跡し、保有 75 銘柄。まず EPS/SPS 成長で順位付けし、低レバレッジ+高 ROE+高株式益回りで複合スクリーニングする。半年ごとにリバランス。
iShares MSCI USA Quality GARP ETF。BlackRock 発行、MSCI USA Quality GARP Index を追跡、保有 147 銘柄(大型+中型)。上位 5 銘柄は Meta、Microsoft、NVIDIA、Apple、Lam Research。Morningstar 評価 Gold(2026/3/31 起算)。
核心数字:4 本の年率リターン対比
下表は、2026/3/31 四半期末時点の 4 本の ETF 年率リターンを整理し、同期の S&P 500 ベンチマークと対照したものである。RVER と TCAF は設定から 3 年未満のため、開示済み区間のみを示す:
| ETF | 1 年 | 3 年年率 | 5 年年率 | 設定来年率 | vs S&P 500 |
|---|---|---|---|---|---|
| RVER | +5.22% | — | — | +5.62% | -7.87% |
| TCAF | +7.6% | — | — | ~ +13% | 小幅勝ち / 横ばい |
| SPGP | -3.76% | +12.16% | +10.02% | +13.46% | 長期 +2~3% |
| GARP(iShares) | +19.76% | +30.83% | +17.80% | 優位にリード | 5 年で +6.3% |
| S&P 500 ベンチマーク | +17.80% | — | +11.5% | — | — |
データ出所:RVER / TCAF は発行体公式サイトの最新開示;SPGP / GARP は Yahoo Finance、PortfoliosLab、iShares Fact Sheet。基準日は 2026/3/31。1 年区間は取得締切日の差により、SPGP は直近 12 か月、他は四半期末基準である。
可視化:設定来の複利格差(Growth of $10,000)
年率リターンだけでは複利の真の衝撃は伝わらない。下図は 4 本の ETF を「2024 年 4 月の RVER 設定日に同期して 1 万米ドルを投入し、2026/3/31 まで」という概念で粗く揃えて比較したものである(注意:異なる基期を等比化した示意であり、精密なバックテストではない):
※ 図表は簡略示意であり、相対格差の規模を伝えることが目的である。実数は取得日・配当再投資の仮定により異なる。厳密なバックテストを行う読者は Portfolio Visualizer 等のツールを用いること。
核心観察一:GARP(iShares)が現時点のパフォーマンス王者である
iShares の GARP は本比較の明白な勝者である:5 年年率 17.80% は、同期の S&P 500 の 11.5% を 6.3 ポイント上回る。インデックス型 ETF にとって、この規模のアルファを運だけで説明するのはほぼ不可能である。
なぜ iShares GARP が最も良いのか?
鍵は指数ルールが「FANGMA の保有を許容する」点にある。上位 5 銘柄の Meta、Microsoft、NVIDIA、Apple、Lam Research は、いずれも過去 5 年の AI テーマ相場の中核受益者である。指数メソドロジーは「時価総額 × 成長 × 価値 × 品質」の四次元でスコアリングし、バリュエーション閾値を過度に厳しくしていないため、大型成長株の上昇局面に丸ごと参加できる。
核心観察二:SPGP は長期の勝者、短期は劣後
SPGP の 10 年年率 13.04% は、同期の S&P 500 の 10.71% を明確に上回る。しかし 2026 Q1 は大幅に劣後した。原因は、直近の半年リバランスでエネルギーを大幅に減らし、その後エネルギーが反発したことである。
これは SPGP の構造的特徴である——厳格なルールが業種ウェイトを激しく動かし、短期パフォーマンスの振れを大きくするが、長期では「バリュエーション閾値」の規律が最終的に勝つ。
SPGP は CANSLIM/SEPA 枠組みに最も近い
SPGP の指数ルール:3 年 EPS CAGR + 3 年 SPS CAGR(成長スコア) → 低財務レバレッジ + 高 ROE + 高株式益回り(品質/価値スコア) → 最良 75 銘柄。これはほぼ CANSLIM/SEPA の精神(EPS 成長 + 機関投資家買い + 財務耐性)を ETF に包んだものである。「ルール化・検証可能・アクティブ銘柄選別の精神に近い」GARP エクスポージャーを求めるなら、SPGP が論理的に最も一貫した選択肢である。
核心観察三:RVER は唯一の構造的敗者である
RVER の設定来年率 5.62% に対しベンチマークは 13.49% で、累積劣後は 17 ポイント超である。この落差は短期の変動ではなく、2 年かけて拡大し続けており、戦略実行に構造的問題があることを意味する:
- 保有回転率 232%、平均保有期間 0.43 年——GARP が本来持つ長期保有の特徴から大きく外れる
- 実際の保有ドリフトが深刻——上位 10 に EQT(天然ガス)、CDE(銀)、CLSK(ビットコイン・マイナー)、IBRX(臨床段階バイオ)など非 GARP 銘柄が出現
- アクティブ運用の経費率 0.65% なのにアルファを生み出せず、経費率が最高かつパフォーマンスが最悪の組み合わせである
核心観察四:TCAF は「合格アクティブ GARP」の範である
TCAF は設定来、ベンチマークを大幅には上回っていないが、すべての指標が合格水準にある——回転率 36.5%(平均保有期間約 2.7 年に相当し、GARP の保有哲学に合う)、Morningstar Gold 評価、69 億 AUM で流動性も十分。RVER と同じくアクティブ運用だが、実行品質は同じ土俵にない。
RVER と TCAF は、今回の比較で最も教育的な対照組である——同じくアクティブ GARP で経費率も近い(0.65% vs 0.31%)が、回転率は 6 倍、規模は 50 倍、パフォーマンスは桁違いに開く。「アクティブ運用」という言葉自体は何の価値も表さない。真に価値を決めるのは実行規律である。
四層防御フィルターで最終配分を判断する
この 4 本を、馴染みの規律チェック枠組みに載せると、適合性を素早く判断できる:
| チェック次元 | RVER | TCAF | SPGP | GARP |
|---|---|---|---|---|
| 規模 / 流動性 | ❌ 弱 | ✅ 強 | ✅ 強 | ✅ 強 |
| 経費率 | ❌ 0.65% | ✅ 0.31% | ✅ 0.33% | ✅ 0.20% |
| 戦略実行の規律 | ❌ ドリフト | ✅ 合格 | ✅ ルール化 | ✅ ルール化 |
| 長期アルファ実績 | ❌ -7.87% | ⏸️ 横ばい | ✅ +2~3% | ✅ +6.3% |
| コア配分適合度 | ❌ 非推奨 | ⏸️ 衛星配分 | ✅ ルール派の第一候補 | ✅ 全方位の第一候補 |
最終配分の提案
ProfitVision LAB 読者向けの最終配分ロジック:
- コア配分(70–80%):GARP または SPGP のどちらか 1 本を選ぶ。GARP は「設定後は触りたくない」長期投資家向け;SPGP は「ルールが CANSLIM の精神に近い」規律派向けである。
- 衛星配分(10–20%):アクティブ要素を加えたいなら TCAF は合格選択肢である——ただし指数を大幅に上回ることは期待しないこと。価値は弱気相場での保護と長期安定にある。
- 回避:RVER は全次元で不合格であり、保有理由がない。
追跡記録
| 日付 | 事象 | 判断 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2026/05/08 | 初回公開(4 本の GARP 比較) | GARP / SPGP 推奨、TCAF 衛星、RVER 拒否 | — |
次回更新予定:2026 Q3 の各ファンド実績公表後、GARP と SPGP の相対順位が変動したかを確認する。
データ出所:River1 Asset Management、T. Rowe Price、Invesco、BlackRock iShares 公式 Fact Sheet、Yahoo Finance、PortfoliosLab、StockAnalysis の公開資料。
Growth of $10,000 図表は示意であり、精密な歴史的バックテストではない。